握手

入院した時に正面のベッドにいたおじさま。いつもカーテン開けっ放しで、元気なおじさま。いつも何か美味しそうに食べているおじさま。
唯一、仲良くさせていただいたおじさま。

病気が一番進行してて、苦しんでいた僕。そう、腰や背中、尾てい骨にナイフが刺さっていたころ。
いつも心配してくれたおじさま。

自分も、輸血したり注射したり痛い思いをいっぱいしていたのに、弱音を吐かず治療に専念していたおじさま。

僕が入院した時、すでに4ヶ月入院していたおじさま。

ダメなのにサンドイッチをこっそり食べ、下痢してたおじさま。
ドクターに、何か食べました?と聞かれ、えっ?特に何も。と絶対サンドイッチと言わなかったおじさま。

僕の本格的な治療が始まり、ヘパルームへ移るとき、お互い頑張ろうと握手をしてくれたおじさま。

そして、そのすぐ後に、50%の望みにかけ、骨髄移植のために無菌室へ入ったおじさま。

お互いに外には出られない孤独の中、病気と闘った。
そして、私は大部屋へ脱出。
おじさまは無菌室。移植は成功したのだろうか。ずっと気になっていた。

そして今日。

食堂で会えたーーー。

痩せてたし、お互い髪の毛も無残に抜け落ちてたし、闘いを終えて、会えたーーー。おじさまーーー。

おじさまも、ずっと岩田くんどーしてっかなー?って気にしてくれていたらしい。

移植も成功して、年内には退院できるらしい。食べられるようになってきたからって、調子良く食べすぎて、下痢してるらしい。

お互い、お正月は家でゆっくり、美味しいもの食べようと決意し、再び堅い握手をした。そしてメール交換をした。おじさまとーーー。

おじさま。病気がつなげた出会い。
血液のがん。謎。この病気での入院はとにかく長い。僕なんて、たった4ヶ月。おじさま8ヶ月。それ以外にも1年、2年の人もいる。高校生や大学生の若者もいる。すげー。みんな強ぇーー。白血病悪性リンパ腫の治療はここ数十年で大きく進歩した。助からない命も助かるようになった。僕も助かった。
でも、もっともっともっと進歩して、飲み薬で治るといい。1週間で治るといい。病気なんかなくなるといい。

そうなると人口がすんげーー増えるね。

でも、病気なんかなくなるといい。

私が、60歳の定年を迎える頃、僕とおじさまが味わったこの病気が、鼻風邪レベルになっていることを願っています。


ワールド。平成18年のみんな。届きました。もう高2?? 20超えてる子もいるわけで??
恐ろしいぜ、月日。
写真つきのメッセージもあり。外見はすっかり高校生のたくましさ。でも可愛いみたいな。面影たっぷりみたいな。こんな一コーチの存在を覚えててくれて嬉しい限りです。ありがとう。


ずっと応援してくれたみなさん。
ありがとう。
あと、ほんの、ほんの少しです。


下の写真の絵。
俺のチャームポイントよく分かってる。

100点。